ポケモンが教えてくれたこと
【最近の世の中に思うこと】
最近世の中を見ていて思うことの一つとして、ネガティブなニュースが蔓延しているということがある。
世間一般的なニュースでいえば、池袋での高齢運転者による事故だったり、川崎での無差別の事件など、連日ワイドショーで取り上げられる悲惨なものが後を絶たない。
eSportsだけに絞ってもプレイヤーの体臭問題から、配信におけるプレイヤーの容姿に対する誹謗中傷暴言など、数日あるいは数週間に渡って取り上げられる問題が非常に多い。
こういった話題は視聴者の過去の記憶を呼び覚まし、自分もこういう嫌な思いをしたという声を上げる人を生む。
先に断っておくと、これらを悪と言いたいわけではない。
問題は問題として向き合っていくべきことだし、それから目を逸らすというのはポジティブではなく逃げと言っていいだろう。
問題に向き合うことは戒めに繋がり、解決へ向けて試行錯誤をしましょうという警鐘となる。
ただ、こういった警鐘が過剰になると人々は休む時を失う。
監視されているかのように自分を縛る者。他者を非難し己の正当性を掲げる者。
現代社会特有の膨大な情報の波はそれぞれの個性さえも比較対象とし、多くの人が見えない何かと戦っているとオレは感じている。
こんな時代だからこそ必要なものは何か。その中で自分に出来ることは何か。自分の見えている世界だけでも引っ切り無しに取り上げられる問題の数々を前に、オレはそのことを考えることが多かった。
【心の拠り所】
疲弊していく人たちが増える中、ある日ある時間は正反対のことが起きた。6月5日のポケモンダイレクトだ。
最新作ポケットモンスターソード、ポケットモンスターシールドの最新情報に世界中が沸き、みんなが約半年後となる発売に期待を膨らませた。
美しいポケモンの世界に感動する者。新ポケモンのイラスト描きに没頭する者。登場人物の考察と妄想に明け暮れる者。
その時、その時間だけは多くの人が怒りや悩みを忘れ、争うことをやめていたように思う。
その光景にオレは考えていたことの答えを見た。「みんな、心の拠り所がほしいんだ」と。
よく、先々の楽しいことが見つかるとその時まで生きられると言う人がいる。以前は大袈裟な物言いだなと思っていたが、実はあながち間違いでもないのだろう。ポケモンは確かにみんなの心の拠り所となっていた。
もっとこんな楽しい時間が増えたらいいのにな。ポケモンダイレクトを見て、そう感じたのはきっとオレだけではないはずだ。
いろんな社会の問題には向き合いつつも、全てはみんなの笑顔に繋がるように。
ポケモンの在り方は現代社会に求められる人物像を示していたように思う。
【オレに出来ること】
オレが何かに取り組む際、いつも考えることとして「何なら頑張れるか。何のためなら頑張れるか」というものがある。前者は手段、後者は目的だ。
オレがプロプレイヤーとして取り組むポッ拳は日頃の練習も楽しくやれる相性抜群の手段であり、その先で待つ世界一の舞台はオレの原点に通ずる目的だ。
こうして個性を鑑みるとオレがいかに"ポッ拳のおかげで""ポッ拳だから"頑張れることが多いかを痛感する。
だからこそ今オレに出来ること。それはポッ拳を通してみんなに楽しい時間を、笑顔をもたらすこと。
人々の心の拠り所に。精神的支柱に。ポケモンが持つその一面を今のオレが担うには荷が重すぎる。
でも「いつかそうなれたらいいな」では、オレのような凡人にそのいつかなんてやってこないことをオレはよく知っている。
何よりオレがどれほどポケモンにたくさんのものを貰ってきたのか。恩返しなんてできるだけの力はないけども、ならばせめて貰ってきた力を活かせるように。
そして何かを成し遂げた暁に、これはポケモンのおかげだと言うために。
明日はいよいよポッ拳公式世界大会日本代表決定戦だ。オレは既にオセアニア予選で本戦出場権を持っているが、それに満足していては世界一は遠のいていく。
何より本戦と異なり会場が日本なら視聴にあたり時差による時間の調整を必要としない。つまり最も日本人に観てもらえる大会が明日の公式戦なのだ。
今や年に一度となった日本代表決定戦。みんな本気で獲りにくるだろう。だからこそそんな奴らにオレの全力をぶつけたい。
勝つか負けるか。そんなものはやってみなきゃ分からない。でも、これだけは約束する。
どんなバトルもオレは笑顔で勝利を獲りにいく。それがポケモンがオレに教えてくれた今オレに出来ることだからだ。
いくぞ、ルカリオ!ギルガルド!ダークミュウツー!オレたちのポケモンジャパンチャンピオンシップス2019篇、開幕だ!