ありがとうポッ拳コミュニティ

【はじめに】

 ポッ拳の最強プレイヤーを決める公式世界大会『Pokemon World Championships 2019』(以下WCS2019)が目前に迫りました。いよいよスタートかと思うと緊張もしますし、熱狂の渦の中に身を置けるかと思うと言葉にできないワクワクを感じています!

 今回はそんなWCSを前に、これまでのポッ拳プレイヤーとしての振り返りと伝えたいことがあって文章を書きました。やや長文にはなりますが、どうぞ最後までお付き合いください。

 

 


【WCS2016】

 オレがポッ拳を始めたのは、2016年に発売されたWiiU版からでした。これまでずっとWCSで優勝することが夢でしたが、ポッ拳は家庭版の発表とともに種目入りが決定したことで購入を決意しました。2歳半からずっとゲームをしてきた身でしたが、購入時に「このゲームで世界を獲るぞ!」と思って買ったゲームはポッ拳が初めてです。

 とはいえ、そんな簡単に世界一になれるはずもなく(笑)それくらいは分かっていましたが、そのうえで自費でWCS2016への参戦を決意しました。世界一をこの目で見ておくことで、自分との明確なレベルの差を体感し受け入れること。それが目的であり課題として設定したものでした。

 日本代表にして、最強のルカリオ使い"たのしみ選手"が出発前にくれたメッセージ。こういうことをトッププレイヤーが言ってくれることが、どれほど大きな力になったことか。このメッセージは今でもずっと覚えていて、本当に感謝しています。


f:id:crossigarashi0509:20190808230023j:plain

 激闘を勝ち抜いた日本代表たちとの1枚。ほとんど自分を知らない人にくっついていくって今思えばやばいですね(笑)


f:id:crossigarashi0509:20190808230002j:plain

 北米プレイヤーたちとの観光にて。見るもの全てが新鮮な時間でした。


f:id:crossigarashi0509:20190808230029j:plain

 北米のルカリオ使いMillnとの一枚。この時出会って以降、彼はずっとオレを応援してくれました。


f:id:crossigarashi0509:20190808230038j:plain

 世界で一番憧れるポケモンの生みの親、増田順一さんとの一枚。ファンのことをよく覚えていてくれるとても優しい方です。


f:id:crossigarashi0509:20190808230048j:plain

 国際交流を兼ねたディナータイム。ゲームの輪は言語の壁を超えるんだなと実感した楽しいひと時でした。


f:id:crossigarashi0509:20190808230011j:plain

 WCS2016閉幕時に全員で撮った思い出の写真。これは人生で最も忘れられない写真の一つになりました。

 WCS2016はベスト16でフィニッシュ。その後は日本のプレイヤーと知り合いながら修行を続けましたが、2年弱の間これといった成果は出ませんでした。それでもNo.1を目指して戦えたのは、この時の思い出あってこそ。最強のプレイヤーと最高の舞台をこの身で体感しておいたのは本当によかったですね。



【EVO JAPAN 2018】

 その後は2018年の"EVO JAPAN 2018"にて、最強のシャンデラ使い"Mikukey選手"とタッグを組んでついに悲願の初優勝を飾ります。今の実力ならともかく、当時は何故トッププレイヤーがオレと組んでくれたのかは不思議で仕方ありませんでした。それでも名立たる強豪を破り、優勝に貢献できたことはこの後の戦い全てに繋がる自信となりました。


f:id:crossigarashi0509:20190808230149j:plain

 優勝時の一枚。一人だけテンションおかしいですが、それだけ嬉しかったんです(笑)


f:id:crossigarashi0509:20190808230132j:plain

 北米のトッププレイヤーALLISTERと、WCSを支えるポケモン社TPCiのDCとの一枚。DCはWCS2017に参戦できなかったオレに、その時のグッズ一式をプレゼントしてくれました。WCS2016で会ってから彼には幾度も支えられています。


f:id:crossigarashi0509:20190808230200j:plain

 北米のポッ拳コミュニティリーダーBurnsideが作ってくれたリザルト画像。彼が作るリザルト画像に載ることは、世界中に自分の活躍を知ってもらうきっかけになります。


 オレの初優勝は多くの人の驚きの声を呼びましたが、その中で格ゲー界のトッププレイヤー"超選手"が言ってくださった一言。99%がまさかという反応の中、ただ一人優勝が似合うと言ってくれたことがとても強く心に残っています。ありがとうございました!



【SwitchFest】

 続く4月には北米の大型大会"SwitchFest"に参戦。この大会は世界各国からプレイヤーを招待する方式が取られており、推薦するプレイヤーを募集する主催側のツイートに対し、海外のプレイヤーがオレを候補に挙げてくれました。

 海外遠征はお金も時間もかかるため、候補に挙げてもらえたからといって気軽には参加できません。しかしせっかく名を挙げてもらえたならその期待に応えたい。そう思った真っ先に休みを確保し、招待選手に選んでくれるなら参戦することを約束すると宣言します。その後主催団体"2GG"のツイッターからフォローされ、DMが飛んできた瞬間は勝ち確だと思いましたね(笑)まだまだ未熟だからこそチャンスは常に全力で獲りにいく。その姿勢を貫いたことは良い経験になりました。

 SwitchFestは自分以外の日本人プレイヤー0という環境でしたが、2GGのおかげで無事参加し帰ることができました。2GGはスマブラシリーズで有名な団体で、ポッ拳の前はスマブラを熱心にプレイしていたオレにとっては2GGの大会に参加することは夢の一つでした。

f:id:crossigarashi0509:20190808231516j:plain

 参戦決定時に2GGがツイートした画像。これはポッ拳においてルカリオが登場するシーンなので、正しく参戦決定に最適の画像でした!


f:id:crossigarashi0509:20190808231520j:plain

 ともに競い合った海外のライバルたちとの一枚。英語は話せなくても彼らのおかげで最高に楽しい時間を過ごせました。


f:id:crossigarashi0509:20190808231533j:plain

 SwitchFestの会場にもいてくれたDCとの一枚。大事な大会の時はいつも彼が傍で見守ってくれました。


f:id:crossigarashi0509:20190808231447j:plain

 優勝決定直後の一枚。グランドファイナルが同じルカリオ使いにして幾度となく支えてくれた最高のライバル"XAbusoluted(現LCF)"とのルカリオ頂上決戦だったことでSwitchFestは忘れられない大会となりました。


f:id:crossigarashi0509:20190808231453j:plain

 2GGが撮ってくれた優勝直後のシーン。人生で一番かっこよく撮ってもらった写真です。

 この戦いの最後、LCFはこのようなメッセージをくれました。

 "強くあれ。WCSでまた会おう!"

 その後宣言通りヨーロッパ予選を勝ち上がったLCFとの再会は続きの中で。



【WCS2018】

 この年の国内予選で3位になったことで、現地予選スタートながらも招待選手としてWCSに参戦することが叶ったのがこのWCS2018です。WCSとは言わばポケモン界のオリンピックのようなもので、各種目におけるトッププレイヤーにとっては人生そのもの。オレにとってもまたそうであったことから、とても気合いを入れて臨んだことを覚えています。


f:id:crossigarashi0509:20190808232531j:plain

 ルカリオ使いが集まった時の一枚。同キャラ使いの絆は強い!


f:id:crossigarashi0509:20190808232539j:plain

 約束通り再会したLCFと最強のゲンガー使い"たるたろ選手"、トップクラスのダークライ使いにして多言語で世界を繋ぐポッ拳界最高のヒーロー"Midori選手"との朝食。めちゃくちゃ幸せな時間でした!


f:id:crossigarashi0509:20190808232449j:plain

 2年ぶりに再会した北米のルカリオ使いMillnとの一枚。思いがけない再会にとてもテンションが上がっています(笑)


f:id:crossigarashi0509:20190808232501j:plain

 最強のスイクン使い"エルム選手"と、大事な大会ではいつも見守ってくれるDCとのスリーショット。本当にDCは必ずいてくれるので、彼を見ると元気が湧いてきます。


f:id:crossigarashi0509:20190808232511j:plain

 日本人選手とWCS2018チャンピオンThankSwalotの両親との一枚。お父さんお母さんもまたコミュニティに溶け込んでるのがすごいですよね!ThankSwalotが強いのもよく分かります。

f:id:crossigarashi0509:20190808232519j:plain

 ポケモンの生みの親、増田さんとの一枚。WCSでの優勝を目指す情熱の原点とも呼べる存在です。今年もまた会いたいなぁ。

 WCS2018の結果は現地予選を突破できずに終わりました。同じく現地予選から参加した日本人選手は全員本戦に参戦しており、唯一壇上の下で応援するしか出来なかったことは本当に悔しかったこととして覚えています。でも、みんな本気でやってる。そのことを改めて実感し、相手がすごい人たちだからこそ勝ちたい。そう思えた大会でした。



カントートーナメント6】

 日本で行われた大型コミュニティ大会カントートーナメントの第6回目。国内トップクラスのプレイヤーが集う、世界的に見ても最高峰の難易度を誇る大会です。ここで勝つこと即ちWCSの王座に手を掛けるもの。そう言っても過言ではなく、サポートしてくださった企業様からは優勝者にWCS2019への渡航費支援権が贈られました。

 これによって各プレイヤー目の色を変えて本気で獲りにくることとなり、会場は観戦を含めて歴代最高の盛り上がりとなりました。配信席での試合8割がフルセットにもつれ込む激闘となり、日本ポッ拳コミュニティにおいて最高の大会となったと言って間違いないでしょう。

 余談ですがオレの個人配信でルカリオで壁コンボと呼ばれる攻撃を行う際「eSports!!」と叫ぶのが定番のネタになっているのですが、大会中そのコンボを行った際になんと観戦席全体が「eSports!!」って叫んでくれたんですよ! おかげで会場は最高に盛り上がりましたね!(笑)この大会が忘れられないものとなった理由の一つです。


f:id:crossigarashi0509:20190808232845j:plain

 実況席にてプロのeSportキャスター"ふーひさん"との一枚。会場がRedBullなのでeSports!!って感じですね(意味不明)


f:id:crossigarashi0509:20190808232921j:plain

 カントー6トップ3での一枚。二人とも本当に強くて戦っていてめちゃくちゃ楽しかったです!


f:id:crossigarashi0509:20190808232831j:plain

 結果は3位。惜しくも優勝はなりませんでしたが、強いプレイヤーの多い日本の大会でこれだけの成果を挙げられたことは自信になりました。



【伝えたいこと】

 このとおり多くのライバルが激闘を巻き起こし、多くの支えが力になり、その全てが漫画やアニメにも劣らないドラマを生み出してくれました。そんなポッ拳コミュニティに3年間以上身を置けたことを心から誇りに思っています。感謝の気持ちは言葉にはしきれませんが、間違いなくこれまでの人生で最も輝けた時間でした。本当にありがとうございます。

 そんな中とても心苦しいですが、どうしてもみなさんに伝えなければいけないことが2つあります。

 1つ目は契約満了に伴い8月15日をもってこれまで所属してきたチーム"V3Esportsを脱退した"ということです。(この記事については事前に説明しており、後日公式ツイッターから案内があるでしょう)

 プロの定義は明確に定まったものではありませんが、オレはこれまでV3のおかげでポッ拳のプロプレイヤーとして認知されてきました。それによって受けた恩恵は何より注目度の上昇補正であり、自らを律し高める精神面での上昇補正でもありました。

 思えばこれまでの人生で何一つ誇れるようなことなどなかったオレにとって、V3のおかげでゲーマーとして誇れることの一つを得られました。チームとしては契約の延長を考えてくれていたと伺っていますが、惰性でプロを名乗り、一員で在り続けることはチームに損害を与えかねません。

 後述する理由によりプロとしての活動を続けられる見込みが立たなくなってしまった故の決断でしたが、V3関係者の皆様が個人の意向を尊重してくださったことに心から感謝しています。本当にありがとうございました。


 そして2つ目は"WCS2019で優勝できなかった場合、この戦いを最後にポッ拳を引退する"ということです。

 大前提として伝えると、ポッ拳への情熱が消えてしまったわけではありません。1つ目の話にも大きく関わってくることですが、これは一言でまとめると"お金の不足で活動を続けることが許されなくなってしまった"ためです。

 自分の人生なので、自分のやりたいことをしていきたい。ポッ拳への情熱を盾にそんな考えを通してきましたが、オレは恥ずかしながら一社会人としてはとてもレベルの低い人間です。自身が28歳、両親がまもなく還暦を迎えることを考えると、このままではいずれ生活が破綻してしまうことは目に見えていました。

 怪我も病気もしないからこそかろうじて成立しているこの状況に、もしも自分や家族に不測の事態が起きたならば。自分が倒れれば家族に迷惑をかけ、家族が倒れれば守れるだけの力がない。この歳になってそこから目を逸らしていては、いつか必ず自分を許せなくなる日が来てしまう。そんな判断のもとこの決断に至りました。


 上記2つについては、オセアニア予選で本戦出場権を獲得直後に決めていました。約半年の間この決断が正しいのかずっと悩んでいて、正直今でも踏ん切りがついているとは言えません。しかし、最後になるならWCSがいいと心に決めてきました。優勝でない限りきっと後悔は残るでしょう。それでも向き合うべきことに向き合うという選択を取ろうと思います。



【さいごに】

 ゲームもビジネスもスキルに優れず、容姿に優れず、お金も時間もない。余裕という言葉が最もかけ離れたような自分が何故ここまで戦ってこれたのか。それはポッ拳というゲームだからこそ出来た情熱であり、世界中の人から応援してもらえたことによる奇跡だと思っています。

 "ユメは いつか ホントになるって だれかが歌って いたけど つぼみがいつか 花ひらくように ユメは かなうもの"

 ポケモンの名曲『めざせポケモンマスター』の一節ですが、みなさんのおかげでたくさんの夢を叶えることができました。改めて心から感謝いたします。

 いよいよWCS開幕の時がきました。戦う人も、観る人も、今年のWCSが歴代最高のものとなるよう盛り上がっていきましょう! オレもこれを最後にしないよう全力で頑張ります。最後まで読んでくださってありがとうございました。

f:id:crossigarashi0509:20190816152011p:plain